2013/01/16 Category : BSR 原型 を全くとどめてない、妄想など。 続かない系のアレを続きから。 突発妄想ネタ 政宗さんが無頓着な話 現代パラレル/チカダテ/カッコイイ政宗様はFO 無駄にだらだら長ったらしい OK? ↓ side-K 伊達政宗は天才である。 とある事情から身の回りの世話をみるようになった少年が、実はとんでもない天才だったと知ったのは、俺が18の頃だった。 特にこれといって将来のビジョンもなく、かと言って何もしない訳にはいかないだろうと周囲の勧めるまま大学受験に挑んでいた時だ。 いわゆる受験対策に短期集中で開講されていた塾で渡されたプリントを、年端もいかない子供──政宗様がじっと見詰めているのに気付き、俺は姉(実質的に政宗様の面倒を見ていたのは年の離れた姉だった)から渡されたココアとおやつの乗った盆をテーブルに置いた。それでも政宗様は設問の印字された紙から顔をあげず、盆のおやつに見向きもしない。 「何か面白いものでも?」 聞けば、 「…分かりそうなのに分からない」 まろやかな頬をわずか膨らませ、口を尖らせてそう答えてきた。 小学生に大学受験の過去問題をそうやすやすと解かれてはこちらの立つ瀬がないのだが。思いつつ、しかし納得するまで拘り続ける性格も既に承知していた俺は、菓子の乗った盆を横によけて、設問を解きにかかった。すると今度は途中に使った公式について説明を請われる。はたして、まるで俺の復習を兼ねたかのような即席講座が開講される事となった。一通りの説明を聞き終えた政宗様は、徐に未回答のままの類似した問題を解きにかかった。まさか、と初めは興味本位だけでやりたいようにさせていた俺だったが、小さな手に握られたシャーペンが不釣り合いに小難しい公式を書き連ねていくのに緩めていた頬を引き締めねばならなくなった。 理解している… 生憎と、応用になっているので途中で使う公式が説明したそれとやや異なる為に正解に辿り着く事はなかった。が、それでも考え方は間違っていない事は見ていて分かった。 この子は天才だ… いや、決して親バカ的なアレでなくて。 政宗様は本当に賢い子供だった。 ……勉強が出来る、という意味においては。 気が付くと、政宗様が大学在学中に研究していた事案が学術的に新発見だったとか、政宗様の友人の勧めで特許を取得したところ、あれよあれよと実用化やら何やらで管理が必要になり、小さいながらも会社を設立するまでになってしまった。 政宗様の希望で、会社を立ち上げる原因となったご本人は会長のような研究員のような、微妙な立場にいる。そんな政宗様は提携協力している大学の研究室か自宅に篭りきりで、殆ど社に出る事はない。僭越ながら社長は俺だ。まぁ社長と言っても営業やら人事やらも兼任するようなスリムな会社だが。 ともあれ、やはり彼、伊達政宗は天才なのだ。 side-M 伊達政宗は変人である。 政宗と初めて会ったのは、確か俺が二度目の高校1年をスタートさせた時だ。 なぜ俺が1年を二度繰り返さねばならなかったかと言うのはさておき。 政宗はとにかく目立つ奴だった。 まず容姿。特別背が高いと言うわけではなかったが、どちらかといえば長身の部類で、手足が長く細身だったから実際の身長より更に高く見えたのだと思う。肌はその辺の女子より白く肌理も細かくて、いわゆる美肌?そんな感じ。顔も整っていて、幼少の時に失明したという右目を覆う黒革の眼帯が妖艶さを増しているようでさえある。 何というか、美人だった。 そして、中身。こちらも目立った。…色んな意味で。 頭の出来だけでいうなら「賢い」。のだが、勉強に特化し過ぎていて、それ以外の事がとんでもなく駄目だった。 体育では必ずコケるか何かにぶつかるか、はたまた倒れるかしていて、よく単位が貰えたもんだと思うくらいだ。あぁそう言えば急にグランドに蹲ったからどうしたのかと様子を見に行ったら、地面に小石で数式を書き連ねていて、隣のコートから飛んできたサッカーボールを後頭部にくらって倒れた事もあったか。アメリカだかどこだかで発表された論文で気になっていた部分だとか、およそ高校生に無縁な事を考えていたらしい。それでも体育の単位を取得出来たのは、とにかく出席だけは真面目にしていたから、それでクリアしたんだろう。その他の座学の授業に於いての集中力は物凄くて、独特の雰囲気をまとっていた。その反動か、休み時間の放心っぷりは半端なかったが。それは別に構わない。問題なのは、昼休みでも放っておくとぼんやりしているのだ。それの何が問題って、ぼんやりしていてメシも食わねえ。弁当を持ってきてねぇ訳じゃねえ。ちゃんと持たされてるのに、食わねえ。ただボーッと席に座っているだけで、何もしない。時々なんか小難しい本を読んでいる事もあるが、大抵は何をするでもなく席についているだけなのだ。 俺はたまたま偶然、同じクラスになっただけだった。同じクラスになって、出席番号が近くて、最初はなにかとグループが同じになる事が多くて、そうしているうちにクラスで浮いた存在の政宗が気に掛かるようになって。ただ見るだけ、それだけ…のつもりだったのが、放っておけず…話し掛けたりフォローしたりしているうちに、何故かあいつの世話係のようになってしまっていた。と同時に、俺は政宗の持つ不思議な力に知らず魅了されていた。 それは高校3年間だけで終わらず、大学を卒業した今も続いているのだが。 「遅くなって、すまねぇ!」 鍵を開けるのももどかしく、俺は玄関に入るなり行儀悪く靴を脱ぎ捨てるとリビングへと向かった。 「政宗?」 しかし、そこは真っ暗なままで。 時刻はとうに日付変更線を越えているから既に寝てしまったのだろうか、と考えて寝室へと足を向ける。 ネクタイを緩めながら、さして長い訳でもない廊下を歩いていると、寝室の隣、政宗が書斎として使っている洋室の扉の向こうからカタカタと忙しない音が聞こえてきた。玄関に程近いにも関わらず、先程は慌てていて気付かなかったらしい。 「政宗?」 また何か没頭するようなモノを見付けたのだろうか、と部屋を覗く。書架とパソコンデスクだけの部屋は明かりも点けられず、ただモニターの放つ光だけがぼんやりと灯っている。 俺は照明のスイッチを入れてデスクに向かう政宗へと近付いた。 モニタ画面は演算ソフトやテキストエディタ、ネット画面などが立ち上がっているのが見て取れた。今はネットの、チャット?SNS?そんな画面に夢中らしい。ほぼ注視されずに運ばれる指先が画面に送り出す文字はアルファベットの羅列。 「ただいま、政宗」 話し掛けるも、政宗はモニタに流れる顔も分からぬ相手に夢中のようで。 あまりに展開が早すぎて文字を追えずにいた俺は、なんとはなしに間近にある政宗の顔を見遣った。と、長い前髪で顔の半分近くが隠された白皙の、薄く整った唇がニヤリと引き上げられるのが見て取れた。 ──うわぁ…悪い顔してやがる ややして、 「You deserve it!(ざまぁみろ)」 嬉しそうな政宗の声。 「よく分かんねぇけど、お疲れさん」 言ってやれば、 「元親!いつ帰ってきたんだ?」 政宗は驚嘆の声をあげつつ両腕を俺に差し伸べてきた。モニタ画面を眺めるのに屈んでいた俺の首にその腕がまわされて、次いで本体がしなだれかかってくる。そのままチェアからずり落ちるのを抱き留めて、持ち上げるようにして抱き上げてやる。 だらりと力を抜いた成人男性はそれなりに重い。 しかし我が家の気まぐれなお猫様はそんな俺の事情になど頓着しないのだ。 「メシ食ったか?」 「……Ah、」 「まだなんだな、分かった」 と言うよりは忘れていたのだろう。出掛ける際にレンジで温めれば食べられるように冷蔵庫に入れていった食材達は俺が仕舞ったそのままの場所に収められているに違いない。 政宗を抱き上げたまま廊下をリビングに向けて歩いていると、不意に首筋にカサついた冷たいものが押し当てられた。そして、まぐまぐと喰むように動いたそれが政宗の唇だと気付く。 「おい、また水分も摂ってねぇのか政宗」 「I don't know.」 「…ったく、そんなにさっきのチャットに集中してたのかよ?」 「チャットじゃねぇし、あれはそんなに長くかかんなかった」 今度はぐりぐりと肩口に額を押し付けつつ答えてくる。どうも今日は機嫌がいいらしい。 「そうかよ…」 おそらく先ほどの相手と何事か討論をしていて、見事言い負かしたのだろう。内容までは知り得ないが。 「それよりよぉ、元親」 「あァん?」 リビングに到着し、俺は政宗をソファに座らせようと身を屈めたが、当の政宗は俺にしがみついたまま離れようとせず、仕方なく諦めて大荷物を持ったままキッチンへと移動する。 「あのセキュリティ、駄目だな」 「どのセキュリティだよ?」 冷蔵庫を開けると、案の定、夕食にとラップしておいた煮物がそのままになっていた。 「会社のだよ、ちぃと苦労はしたが入り込めたぞ?」 俺は煮物の入った小鉢を手にしばし放心してしまった。 「見たい資料があったから、なんとなくID使わないで侵入試みてみたら、入れた」 いやいやいやいや。 入れた、じゃなくて。 「けど、目的のファイル探してたらシャットアウトされちまった。ケチだよな、ったく」 ケチとかそんな問題じゃなくてっっ 「あー…今日よぉ、社内でも極秘扱いのファイルにアクセスしてくるヤツがいてよ…システム屋と首っ引きで対処にあたってたんだけどよ」 「あ、それ多分オレ」 「……だよな」 悪びれず言いやがるこの小悪魔を放り投げてやろうかと思った俺だったが、 「I really enjoyed,さっすが元親だぜ、このオレを撃退しちまうなんてよぉ」 ぎゅう、と首に回していた両腕に力を込めて抱きついてきて、俺の耳の裏に唇を寄せてくる政宗に、そんな事など出来る訳もなく。 「はっはー、あんたに褒められるのは悪くねぇ」 支えるように腰に回していた腕を引き寄せて、お返しとばかりに政宗の首筋に鼻先を埋める。 まぁ実際のところ俺は立会いで、頑張ったのはシステム屋だけどな。 「けどよぉ、」 ちゅ、と啄むように項あたりに口付けてやって…あれ、こいつ昨日風呂に入らせたっけ? 「こっそり侵入すんのはこれっきりにしてくれよ?また社内資料が必要になったら正規IDでな、政宗」 言うと、政宗はきょとんとした面持ちで俺の顔を見たあと、 「Hum…that's okay.」 曖昧に口を尖らせて言った。 オッケー分かった、なのか、まぁまぁ気にすんなよ、なのか。 そんな曖昧な答えでも仕方ねぇかと思ってしまうくらいには、この変人で天才で大きな子供で猫みたいな男に、俺は骨抜きらしい。 アヒルみたいにつきだした口に、悪戯っぽく口付けると、政宗の猫のようなひとつ眼がきらきらと輝いた。 終わっとけ! あ、説明抜けてた…元親さんも小十郎と同じ会社で政宗さんの特許だとか技術利用の管理してる会社に勤めてます。どんな会社かとかは詳しく聞かないで下さい、学がないので自分でもよく分かってないもので・苦笑(バラしたっ 長々と、お付き合い有難うございました。 すみません。 PR Comment0 Comment Comment Form お名前name タイトルtitle メールアドレスmail address URLurl コメントcomment パスワードpassword